黒いピラミッドの秘密のカギを握るのは、黒いファラオだった。
エジプトで今、注目を集めているピラミッドが有ります。崩壊が進み、芯の部分しか残っていないが、その色から「黒いピラミッド」と言われている。
何故?黒なのか!
10月19日 TBS世界ふしぎ発見!で放送された内容を紹介致します。
古代エジプト
まず、古代エジプト3000年は、大きく4つの時代に分けられます。
- 古王国時代(B.C.2500~2000)ギザに3大ピラミッドが築かれた
- 中王国時代(B.C.2000~1500)
では、中王国時代とは?それを象徴するのが、謎に満ちた黒いピラミッドなんです。
ピラミディオン
黒いピラミッドの一番上に乗っていたピラミディオン(キャップストーン)、花崗岩で出来ていますが、てっぺんが黒と言う事は全体が黒かったのか?
全部では無く、ピラミディオンだけが黒かった。今までのピラミッドからすると、考えられない様な色だと思う。古王国時代のピラミッドのてっぺんは、真っ白か金色に輝いていた。何故、黒なのでしょう?
「黒が中王国時代のテーマ、黒いピラミッドの秘密のカギを握るのが、黒いファラオ」と言うのは、エジプト考古学者の河江ゆきのり氏。
黒いピラミッド
黒いピラミッドは、カイロから車で40分、ダハシュールの古王国時代の2つのピラミッドのそばにある。赤ピラミッド・屈折ピラミッドの近くにある。
残っているのは、黒い日干しのレンガで作られた芯(コア)の部分、通称「黒ピラミッド」
ドローンによる3D計測モデルから、ピラミッドの完成想像モデルが出来上がる。堂々たるピラミッドだったのです。白い石灰岩の化粧板に覆われ、しかしてっぺんは黒!
このピラミッドを作ったのは、アメンエムハト3世。作った当初から崩壊の危機にあった。アメンエムハト3世の副葬品などが、元々は置かれる予定だった。ただ天井などのヒビ割れが危険な状態になったので、彼自身もここには埋葬されていない。
ただ、棺は一番奥の王の間にある、また別の間には、カノポスを入れる箱だけがある。しかし、王妃は埋葬された。その際、王妃の棺を守ろうとして、当時のエジプト人が石を上に積み上げて崩れない様にサポートした跡がある。
オシリスの世界
何故、中王国時代のピラミッドの地下が、複雑に入り組んでいるのか?それは当時の人々の宗教観に深い関わるがある。
何故、複雑にする必要が有ったのか?それは、冥界の複雑さを3次元で表している。この時代は太陽信仰と、オシリス(冥界の神)信仰が非常に強く成って来た。オシリスの世界を表わす為に、建造物の中に3次元で描こうとした。
黒いピラミッドの複雑な地下構造は、冥界を象徴すると河江氏は言う。そして黒を解き明かすのは、黒いファラオの像である。
黒いファラオ「エジプトはナイルの賜物」
黒いファラオの像は、メンチュヘテプ2世(中王国の開祖)真っ黒ですが、肌が黒かった訳ではない。
古代エジプトは、北と南の2国ととらえていた。この時代、初めてエジプト全土を表す言葉が生まれた。
ケメト(黒い大地)、黒い大地の王!この為、メンチュヘテプ2世の像は、真っ黒に作られたというのだ。
「エジプトはナイルの賜物」と言う様に、ナイル川が氾濫する度に、運ばれた肥沃な黒い土のお陰で、エジプトは栄えた。
中王国時代のファラオはそれを、はっきりと認識していた。そこでその黒い土で日干しレンガを作り、それによってピラミッドを作った。それが今に残る「黒いピラミッド」なのだ。