社会の片隅で車上生活を送る人たち、支援の手が届きにくく亡くなるひとも!
車上生活、社会の片隅で今何が起きているのかを、NHKが3カ月に渡り取材した。2019年11月19日放送 クローズアップ現代からです。
まずNHKは、関東地方全ての「道の駅」で、過去5年以内に車上生活者がいたかを調べた。その結果、車上生活者がいたと答えた道の駅が、36%に昇る事が分かりました。
19年8月に起きたある事件が、取材のきっかけになったそうです。50代の女性が母親の遺体を、車の中に放置したとして逮捕されました。母親と息子の家族3人で、1年間車で生活していた。しかし何故、家族が車上生活を続けていたのか、詳しい事は分かっていません。その後、女性は不起訴処分となったそうです。
車上生活の実態
幹線道路沿いに有る、群馬県の道の駅(道の駅 よしおか温泉)。ドライバーが休憩を取る為、駐車場・トイレが24時間開放されている。夜になると駐車場に10台弱、車が止まっている。休憩する人の車に混じり、ここで生活していると見られる人の車があります。
ディレクターが取材を申し込むと応えてくれた、66歳の男性はトラック運転手でしたが、仕事を失い生活に行き詰っていた。
人には「生活保護でも受ければ」と言われるが、市役所にて「車を持っているんでしょ?ダメですね」と言われて終わり。と男性は言った。
仕事を見つける為にも、車を手放す事は出来ないと言う。何故なら、収入は月に10万円(年金)。これに対して家賃4万・光熱費1.5万・ガソリン代1万・食費5万・携帯料金・薬・他2.5万 合計14万円。
ですが、車上生活では、家賃と光熱費が要らない、しかし冷蔵庫がない為に食費が6万、ガソリン代1万・携帯料金・薬・他3万 合計10万円。支出は年金の範囲で済むものの、ギリギリを余儀なくされています。他にも車を手放さない理由に、「この車には、夫婦の思い出が詰まっている。」などが有るそうです。
他にも、福岡県の道の駅では、27歳の若者(男性)。1ヶ月前まで派遣社員として、トラックの製造ラインで働いていましたが現在は無職。朝8時に出勤し、終わるのは夜中の1時。正社員になれる訳でもなく、限界を感じ退職。会社の寮を出ざるおえなかった。
この若者は「人間関係は難しい」と言う。その理由として、幼い頃に祖父より受けた虐待の記憶があった。その為、どの職場でも人間関係に悩み、長続きしなかったと言う。仕事を失う度に「車上生活」を、繰り返してきた。今、男性はプログラミングの勉強をしています。今後は、なるべく人と関わらない仕事に着こうと思っている。最終的には、こんな生活はしていられない。まずは仕事を見つけ、住む場所を確保する、この2つですねと語る。
また幼い子供を連れては、ネットカフェで子供が泣くのでダメだったりと。車上生活をしていた30代女性、夫婦共に日雇いの仕事で月10万円ほど、アパートを借りられない。両親と疎遠・親戚とトラブル・友人への相談をためらう。
居住支援を行うNPO
居住支援を行うNPOの鈴木和樹さんは言う、車上生活者らしい方の情報提供を受け、直ぐに探しに出掛けるのだが探すのが難しい、車は何処までも行けるので、見つけられない事もある。
「助けて」って言えない人の方が、世の中いっぱいいる「僕だって言えないですよ」。言えないなら、言ってもらえる関係を作るしかない、と鈴木さんは言う。
支援の手が届きにくい亡くなるひとも
関東地方全ての道の駅を取材した所、車上生活者が少なくとも9人亡くなっている事が分かりました。
脳梗塞で倒れた、熱中症みたいな症状で、救急車を呼んだ事もある。
- 声を掛けて少し話が出来たら、死ななくて済んだかもしれない。
- こういう所で亡くなっているのを、珍しいと思はなくなっている。
そう語るのは、道の駅従業員の女性。
親子で車上生活(30代)一見すると親子でレジャーに見えるが、車上生活を長年続けている人が想像以上に多く、とても驚きました。
住まいを持って、日々やりがいを持って働く。ごく当たり前だと思われて来た事が、今凄く難しくなっている。そういう今の社会の断面を、表している。
取材を通じて、誰にも迷惑をかけられない、と言う言葉を繰り返し耳にしました。一度人生につまづいてしまうと、家族にも友人にも頼ることが出来ない、社会になっているのだなと痛感致しました。
身近な場所で人知れず、車上生活を送っている人がいる。社会の無関心の中で、この問題が広がっている恐さを感じました。と、車上生活者を多数取材した、NHKディレクターは語った。