物質を噴き出す?
光を放つ?
太古の超巨大ブラックホール⁉
銀河の中心に超巨大ブラックホール?
宇宙が誕生したのは138億年前
その頃ブラックホールは、銀河の進化にどの様な影響与えていたのか?
宇宙に数千億個存在すると言われている銀河 、ほぼ全ての銀河の中心には、
超巨大ブラックホールが有る事が分かってきています。
私たちの天の川銀河の中心にも、太陽の400万倍の重さのブラックホールが
有ります。
ブラックホールハンター
ブラックホールが、銀河の誕生や宇宙の成り立ちと、密接な関係が有るのではないか?
宇宙初期のブラックホールを、追い続けている人がいます。
宇宙が始まった頃の様子、それは遠くの宇宙を観測する事で可能になります。
光が1年間に進む距離を1光年、地球から1光年離れた天体を見る事は、
1年前にその天体を出発した光。つまり1年過去の姿を見る事になります。
100億年過去の姿を見たければ、100億光年離れた天体を観測します。
松岡さんが観測に使うのは、 標高4200メートル ハワイ島マウナケア山頂に立つ、
星空の広い範囲を、高い解像度で観測できる巨大望遠鏡です。
ですが、ブラックホールの黒い部分を、直接見ることはできません。
そこでブラックホールの周りで輝く、ガスの光から間接的にブラックホールを観測。
それでも極めて遠くにある為に、見極める事は容易ではありません。
クエーサー(ブラックホール)地球からの距離129.9億光年、 驚くべきはその明るさ!
129億年前のブラックホールがたった一個で、M87銀河の1万倍もの明るさでエネルギーを
放っていました。
モンスターブラックホール
正しくモンスターブラックホール!
松岡さんの研究グループは、宇宙初期のブラックホール約100個発見。
いずれも、現在の宇宙では見られないほど激しく輝き、膨大なエネルギー
を放っていました。
なぜ太古のブラックホールは、激しく活動しているのか?
生まれて間もない宇宙では、ブラックホールの周りに、莫大な量のガスが存在するため、
それを吸い寄せることで激しく輝いている?と、松岡さんは考えています。
ブラックホールは現在よりも、遠方(過去)に行けば行くほど、
莫大な光を放って明るく輝いています。
驚くべき発見
こうした太古のモンスターブラックホールから、驚くべきものが見つかりました。
エドアルド・バナドス
(チリ ラス・カンパナス天文台 マックス・ブランク研究所 ブラックホールハンター)
去年発見した、128億年前のブラックホール。
中央にとても明るい光があり、そこから2方向にガスが放出されています。
ブラックホールは吸い込むだけでなく、強力なガスを放出していたのです。
ブラックホールを中心に、左右に光の塊が放たれて見え、
差し渡しの距離は5000光年。
発見された光の放出は、ジェットと呼ばれており、ブラックホールの中心部から噴き
出す、ガスであると考えられています。
太古のブラックホールでは、相次いでジェットが見つかっています。
大量のガスが噴出?
なぜ何でも吸い込む筈のブラックホールから、大量のガスが噴き出ているのでしょう。
そのメカニズムを研究している人がいます。
大須賀健(筑波大学 教授)大須賀さんは、100億年前のブラックホールの活動の様子を、
シミュレーションしました。
その結果ブラックホールの周りを、大量のガスが回転することで、
凄まじい現象が起きていることがわかりました。
回転するガス摩擦で高温になると、強い磁力が生まれます。
磁力線はブラックホールの回転によってぐるぐる巻かれ、エネルギーを溜め込んでいきます。
そのエネルギーを押さえ込みきれなくなった瞬間、磁力線は逃げ場を求めるように
上下方向に一気に跳ね上がります。
その結果、周囲のガスが猛烈なスピードで噴き出す現象、これがジェットです。
光も物質も吸い込むブラックホール、その周りではブラックホールが生み出す
強力な重力によって、非常に高速な物質の流れとしてジェットが噴き出しています。
ジェットのスピードは、光に近い速度にまで達します。
ありとあらゆるものを吸い込んでしまう、そう考えられていたブラックホール。