星のベビーブーム?
宇宙激動の記憶!
生命の父?
究極の鍵とは⁉
ブラックホールと生命のつながり
ブラックホールと、私たち生命はどうつながっているのか?
オーロラ・シミオネスク
(オランダ ユトレヒト オランダ宇宙研究所・東大カブリ数物 客員科学研究員)。
新進気鋭の科学者、ルーマニアに生まれ17歳で、物理オリンピック優勝。
天才少女と言われ30歳で書いた論文が、世界的な科学雑誌ネイチャーに掲載されるなど、今最も注目を集めるブラックホール研究者です。
オーロラさんは2013年に来日、JAXA 宇宙科学研究所のプロジェクトに参加。
世界中を驚かせる大発見
X線天文衛星(すざく)を使った観測で、ブラックホールと生命の秘密を解き明かす、
手がかりを見つけたのです。
M87銀河を観測した結果、鉄・マグネシウム・ケイ素・硫黄 が見つかりました。
M87銀河周辺の元素の分布
鉄の値を100とした場合の元素
オーロラさんが驚いたのは、元素の比率が宇宙のどこでも、同じような値を
示したことでした。
星が多く集まったM87銀河の中心部でも、星のほとんどない銀河団の淵(外縁部)でも。
さらには別の銀河(M49銀河)でも、そして私たちの太陽系でも、同じような比率
だったのです。
元素の比率は場所ごとに、全くバラバラだと信じていた科学者達にとって、
衝撃的な結果でした。
なぜ?元素の比率が似ている
なぜ元素の比率が似かよって言っているのか?
オーロラさんは、ブラックホールが大きな役割を果たしたのではないか?と考えています。
例えば水にインクを加えます、 水は宇宙空間 インクは元素を表しています。ムラのある状態から、ムラのない状態にするにはかき混ぜる。何かが元素をかき混ぜたのです!
銀河の中心にある超巨大ブラックホールが、関係していると考えられます。
ブラックホールが元素をかきまぜ、ムラのない宇宙を作ったことが、生命誕生につながったとオーロラさんは言います。
人体を構成する元素、酸素65% 炭素18% 水素10% 窒素3% カルシウム2% リン1% その他1%。
宇宙が誕生した頃、水素とヘリウムしかなかった星の中で、小さな原子をくっつけ組み立て、大きな元素ができた。
元素が1揃えないと、私達は生まれなかっただろう。
コンピューターの中で宇宙の始まりを再現する、世界的なプロジェクトが行われています。
デビッド・バーンズ(アメリカマサチューセッツ州 マサチューセッツ工科大学)
観測に基づき、宇宙誕生直後のガスの分布などを入力。
重力や電磁記録などの物理法則に従うと、宇宙がどのように変化していくのか、
コンピューターの中で時間を追って観察しました。
数千人の科学者がこのシミュレーションに関わり、科学的な精度を上げてきました。
その結果ブラックホールが宇宙を今の姿にすることに、決定的な役割を果たしていることがわかりました。
誕生直後 宇宙は小さく 高密度、 宇宙誕生から15億年後 ガスが自らの重力で次第に集まっていきます。
宇宙誕生から20億年後、銀河の中心にあるブラックホールから、巨大なジェットが
発生します。
ジェットの長さは180万光年、銀河のサイズをはるかに超える巨大さです。
ジェットでまき散らされたガスは、銀河に取り込まれていきます。
シミュレーションでは11種類の元素を追跡しました、それらがジェットの流れに乗って、
銀河の中心部から遥か彼方まで、送り届けられている様子が確認できたのです。
その後も次々と銀河とブラックホールが生まれ、強力なジェットが宇宙をかき混ぜて
いきます。
太古の宇宙では元素かき混ぜに、ジェットが大きな役割を果たしたことが
確かめられました。
宇宙初期のブラックホールと、私たち生命とのつながりが見えてきました。
私たちの体を作っている元素のほとんどは、100〜120億年前に作られました。
それらの元素は、ブラックホールの力で運ばれたものです。
私たちにとって元素を生んだ星が母であるなら、それを届けたブラックホールは父なのです。
今から100億年前の宇宙は小さく、現在の3分の1ほどでした。
星が次々に生まれ、そして爆発を起こして死んで行きます。
生まれた元素は、宇宙空間にバラバラに漂っています。
この時、生命誕生を決定づける出来事が起こります。
その主役になったのは、銀河の中心にある超巨大ブラックホール。
それは暗黒の天体ではなく、光輝くガスをまとい大量の物質を吹き出しています、
それがジェット。
生命に欠かせない元素がかき混ぜられ、宇宙の隅々にまで送り届けられます。
そして生まれた私達、はるか100億年以上前にブラックホールが引き起こした、宇宙の大激動の記憶が今の私たちの体に刻まれているのです。
100億年前は星のベビーブーム
宇宙にあるほとんどの星は、100億年前にできたと思われています。
宇宙を知る事は自分を知ること
世界の科学者が力を合わせ、初めて見ることができたブラックホール。
科学者たちは、さらに大きな謎に挑もうとしています。
私たちの住む天の川銀河の中心にある、超巨大ブラックホールを直接見ようと言う計画。
そもそもブラックホールがいつどのように生まれ、宇宙の始まりとどうつながっているのか?その手がかりを見出そうと言うのです。
さらに新しい観測衛星の、打ち上げ計画も進められています。
従来の30倍以上の性能を持つ日本のX線観測衛星、2年後の打ち上げを目指しています。
オーロラさんは、この観測こそブラックホールの研究に、大きな飛躍をもたらすと期待しています。
超巨大ブラックホールが宇宙の物質構造を、どう進化させ生命を誕生させたのか?その決定的な証拠を見つけたいのです。
今もなお、多くの謎を秘めた天体ブラックホール、それは宇宙の歴史や生命誕生の秘密を、
解き明かす究極の鍵なのです
www.occulthiroba3088.com
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参考元 NHK