いったい何処へ消えたのか?
1880年9月23日 アメリカ テネシー州ギャラクティン市の郊外で、ある不思議な事件が起きた。
この頃、ニューヨークには地下鉄が走りはじめ、ベルの電話機にエジソンの蓄音機や電灯が、世の中に登場しました。
農場主のデビット・ラングは、自分の農場を見回りに出掛ける所だった。2人の子供が、庭で木馬に乗り遊んでいた。デビットは牧場の柵にもたれかかり、妻の声がする方へ振り返った。
すると、遠くから馬車が近づいて来る。それはデビットの友人の、ギャラクティン市で判事をしている、ペックと義弟の2人だった。彼らはデビットに手を振り、デビットも返事に手を振った。
「やあデビット、農場の様子はどうだ?」「あまり良くないな」「今夜、前から頼まれていた農場の・・・」ペック判事の馬車に近づこうと、デビットが5~6歩踏み出した瞬間、シュルシュルと言う羽音の様な奇妙な音がした。
その瞬間、デビットの姿が忽然と消えてしまった。
周囲の皆は、何が起きたのか分からないまま、急いでデビットが居た所まで駆け寄った。しかし、誰もデビットの姿を見つける事が出来なかった。
そこに有るのは牧場の柵のみ、穴や洞窟は無い。事件を聞き駆け付けた近所の人や、州の調査員も一緒に周囲の捜索をしたが、まるで手掛かりすらみつからなかった。
ところが、その事件の翌年、2人の子供がデビットの消えた所に行き、奇妙な渦巻きが出来ている事に気付いた。
大きさは直径5メートル、きれいに草がなぎ倒されていた。子供たちは父親と関係があるかもしれないと思い、大声で父親の名を呼んでみた。
すると、その場所から父親の声がした。「た、助けて・・・くれ」間違いなく父親デビットの声だった。
しかし、声は少しづつ遠のき、やがて聞こえなく成ってしまった。
デビットは、いったい何処へ行ってしまったのでしょう?